【プレイバック芸能スキャンダル史】
(13)「芸能界大麻汚染」で黙秘を貫いたジョー山中
【芸能】
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昨春、肺がんを公表し闘病を続けていた歌手のジョー山中(享年64)が8月7日、亡くなった。都内の教会で営まれた葬儀には約800人が参列。仲間らは故人の“おとこ気”に思いを馳せた。
良くも悪くも山中が男を上げることとなった事件は、77年8月10日に起きた。山中が歌う映画「人間の証明」のテーマ曲が発売された当日、長崎県佐世保署に大麻取締法違反容疑で逮捕された。
この年の夏から秋にかけて、芸能界は空前の大麻汚染にまみれた。山中に続いて井上陽水、内田裕也、研ナオコ、内藤やす子、錦野旦、美川憲一が捕まり、検挙された芸能関係者は70人に達した。
「佐世保コネクションと東京コネクションの2つのルートがあって、佐世保の方は5年前に運送会社の社員から400グラムの大麻を譲り受けた山中がバンドや芸能界の仲間と使用。九州に行けば大麻が吸えると評判になっていた」(元社会部記者)
佐世保ルートで逮捕された大物は結局、山中の他に内田と美川だけだった。警察は山中さえ捕まえれば、あとは芋づる式に検挙できると踏んでいたが、捜査はなかなか思うように進展しない。「捕まった芸能人のほとんどがペラペラしゃべるのに山中だけは頑として口を割ろうとしなかった」(同)からである。
山中は「大麻400グラムは全部オレひとりで使った」の一点張りで黙秘を通した。警察は夫人まで長崎に呼び泣き落としにかかったが、目にいっぱい涙をため「刑事さん、信じてくれよ」と繰り返すばかりだった。称賛するわけにはいかないが、仲間を守ろうとする姿勢に周囲は心を打たれた。
「大半の容疑者が10日ぐらいで帰されるのに、山中の勾留は75日間にも及んだ」(同)
「ママ~ドゥ・ユウ・リメンバー」と始まる「人間の証明のテーマ」はヒットチャートの1位を記録。そのことを山中は留置場の中で知った。
同映画に山中自身も出演しているが、その切ないストーリーはまるで彼の人生を体現しているかのようだった。7人兄弟の中でただひとり、肌の色が違っていた。夫の帰還が遅れ、生活に困った母が黒人兵と暮らす間にできた子で、父の顔は知らなかった。小学校2年の時に母が亡くなり、戸籍上の父は再婚。山中は孤児院に入った。
ケンカも強かった。生き抜くために必要だったからだ。日比谷で演奏中に日大全共闘の学生15人ほどに「ロック粉砕!」と角材で襲われた際は、返り討ちにしてステージで土下座をさせた。安岡力也とのタイマンも一方的に叩きのめした。
晩年は自宅が全焼するなど不幸が続いたが、仲間には決して弱音を吐かず、最期まで再び歌える日を信じて疑わなかったという。
◇1977年8月 31日、巨人の王貞治選手が大洋戦で三浦道男投手から755号ホームランを放ち、ハンク・アーロンの大リーグ記録(当時)に並んだ。翌月3日にはヤクルト戦で鈴木康二朗投手から756号を打ち新記録を達成。16日エルビス・プレスリーが米メンフィスの自宅で心臓発作に襲われ急死。42歳だった。





